文部科学省は10月13日、宗教法人法に基づいて、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令を東京地裁に請求しました。信教の自由との関係でどう考えたらよいのか、手続きは適正だったのか。「統一教会」(中公新書)の著書のある宗教学者の櫻井義秀・北海道大学教授に聞きました。
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――昨年10月24日、宗教研究者有志の名前で「旧統一教会に対する宗務行政の適切な対応を要望する声明」を発表されました。適正手続きの注意喚起でしたが、その観点から今回の解散命令請求をどう評価されていますか。
「適切だったと思っています。文科省は質問権を計7回行使し、旧統一教会側からの回答を得て、調査も行った。170人を超える被害者から個別の経緯や被害状況を聞き取り、裁判資料も民事の方を中心に内容を吟味したということです」
「盛山正仁文科相が記者会見で指摘していたように、被害が甚大であり、被害救済が求められている。旧統一教会の行為は、著しく公共の福祉を害しているし、宗教団体の目的を著しく逸脱している。宗教法人法に基づく行政処分要件もクリアされていて、解散請求が出されたことに問題はないと思っています」
宗教界の反応には「失望」
――宗教界から賛否様々な意見が出されました。「自民党などとの癒着による根本的な問題が全く明らかにされていない」「国家権力による宗教介入」などとする見方もありましたが、どう受け止められましたか。
「一言で言えば、失望してい…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル